パブリックドメインの映画を無料で観る|公開元と保護期間の数え方

フィルムのリールと、ラベルのない保存箱が積まれたイラスト

パブリックドメインの映画を無料で観る方法を、法令と公的機関のページだけで調べました。調べた日は2026年10月12日です。

結論を先に書きます。保護期間の数え方は、著作権法の条文で決まっています。 映画の著作物は「公表後70年」です(第54条第1項)。小説や音楽の「死後70年」(第51条第2項)とは、数え方そのものが違います。

もうひとつ、先にお伝えしたいことがあります。無料で公開されているからといって、その作品の保護期間が切れているとは限りません。 権利者の許諾を得て無料配信しているアーカイブもあります。この2つはまったく別の話です。

公的機関でオンライン無料公開があるかも調べました。国立映画アーカイブは、所蔵フィルムをデジタル化した作品を7つのサイトで無料公開しています。 いちばん本数が多い「フィルムは記録する」は339作品でした。一方で国立国会図書館は、録音・映像関係資料のインターネット公開が0点でした。

この記事では、個別の作品が パブリックドメインかどうかは判定しません。 書けるのは「期間の数え方」と「公的機関が公開しているもの」までです。理由は本文で説明します。

法令も公開本数も変わることがあります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

パブリックドメインとは何ですか?

著作権の保護期間が終わって、だれでも使える状態のことです。ただし著作権法の条文に「パブリックドメイン」という言葉は出てきません。 法律の言い方は「保護期間」です。

文化庁は、保護期間がある理由をこう説明しています。

著作者等に権利を認め保護することが大切である一方,一定期間が経過した著作物等については,その権利を消滅させることにより,社会全体の共有財産として自由に利用できるようにすべきであると考えられたためです。(文化庁「著作物等の保護期間の延長に関するQ&A」問1)

用語 法令上の位置づけ 出典・確認日
保護期間 著作権法 第四節の節名が「保護期間」。第51条から第58条がこの節にあたります japaneselawtranslation.go.jp2026-10-12
パブリックドメイン 条文には出てきません。文化庁のQ&Aでも「保護期間」の語で説明されています bunka.go.jp2026-10-12

保護期間が切れても、何でも自由になるわけではありません。条文には別の縛りが2つ書かれています。

1つめは著作者人格権です。第60条に、こう書かれています。

著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなつた後においても、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。(著作権法第60条)

著作者が亡くなったあとも残る決まりです。保護期間とは別の話になります。

2つめは映画と原作の関係です。第54条第2項にはこう書かれています。

映画の著作物の著作権がその存続期間の満了により消滅したときは、当該映画の著作物の利用に関するその原著作物の著作権は、当該映画の著作物の著作権とともに消滅したものとする。(著作権法第54条第2項)

この条文が消滅させるのは「当該映画の著作物の利用に関する」範囲だけです。原作小説そのものの著作権が消えるという話ではありません。

保護期間はどう数えますか?

原則は著作者の死後70年です(第51条第2項)。ただし映画の著作物だけは、死亡ではなく公表を起点に数えます。

著作物の区分 保護期間と条文 出典・確認日
原則(映画以外) 著作者の死後70年。共同著作物は最後に死亡した著作者の死後70年(第51条第2項) japaneselawtranslation.go.jp2026-10-12
無名または変名の著作物 公表後70年(第52条第1項)。著作者の死後70年を経過したと認められる時に消滅します japaneselawtranslation.go.jp2026-10-12
団体名義の著作物 公表後70年。創作後70年以内に公表されなかったときは創作後70年(第53条第1項) japaneselawtranslation.go.jp2026-10-12
映画の著作物 公表後70年。創作後70年以内に公表されなかったときは創作後70年(第54条第1項) japaneselawtranslation.go.jp2026-10-12

映画には、ひとつ専用の決まりがあります。第54条第3項です。「前二条の規定は、映画の著作物の著作権については、適用しない。」

つまり映画の著作物には、無名・変名の規定(第52条)と団体名義の規定(第53条)が適用されません。 監督名が出ていても、製作会社の名前だけが出ていても、期間は第54条で決まります。

次に起点です。条文は日付ではなく、年の単位で数えるように書かれています。第57条はこうです。

著作者の死後七十年又は著作物の公表後七十年若しくは創作後七十年の期間の終期を計算するときは、著作者が死亡した日又は著作物が公表され若しくは創作された日のそれぞれ属する年の翌年から起算する。(著作権法第57条)

文化庁のQ&Aは、この数え方を手短にまとめています。「すべての期間は,死亡,公表,創作した年の『翌年の1月1日』から起算します(第57条)。」

数える手順 中身 出典・確認日
1. 起点の年を決める 映画なら公表した年。創作後70年以内に公表されていなければ創作した年 japaneselawtranslation.go.jp2026-10-12
2. その翌年の1月1日から数え始める 公表日が何月何日かは、終期の計算には使いません bunka.go.jp2026-10-12
3. 70年後の12月31日まで 文化庁の例では、1989年に亡くなった方の著作物は2059年12月31日までです bunka.go.jp2026-10-12

期間が切れるのは、いつも12月31日です。 公表日の翌日ではありません。ここを月日で計算すると、1年近くずれます。

映画はいつから70年ですか?

2018年の改正ではありません。映画の著作物は、2018年の改正より前から公表後70年でした。

ここは誤解が多いところだと思います。2018年12月30日に施行された改正は、たしかに保護期間を50年から70年に延ばしました。ただし文化庁の改正概要には、こう書かれています。

改正前の著作権法においては,著作物の保護期間の終期は原則として著作者の死後50年とされており(映画の著作物については公表後70年まで),実演やレコードについても,それぞれの起算点から50年とされていましたが,今回の改正により,著作物,実演及びレコードの保護期間の終期を,それぞれの起算点から70年とすることとしています。(文化庁「3.改正の概要(1)著作物等の保護期間の延長」)

括弧の中に「映画の著作物については公表後70年まで」と書かれています。 改正の前から70年だった、という意味です。

延長の対象として挙げられている条文も、改正概要にそのまま書かれています。「第51条第2項,第52条第1項,第53条第1項,第101条第2項第1号及び第2号関係」です。第54条は入っていません。

映画が公表後70年になったのは、その前の改正です。文化庁のQ&Aには、旧法から現行法までの保護期間を並べた表があります。

映画の保護期間の変わり方 期間 出典・確認日
昭和45年(1970年)法(昭和46年1月1日施行)制定後 公表後50年間 bunka.go.jp2026-10-12
平成15年(2003年)改正(平成16年1月1日施行)後 公表後70年間 bunka.go.jp2026-10-12
平成28年(2016年)改正(平成30年12月30日施行)後 映画の欄に記載はありません bunka.go.jp2026-10-12

この表には、もうひとつ見落としやすい行があります。映画の著作物が2つに分けられている点です。

表にある映画の区分 旧法での保護期間 出典・確認日
独創性のあるもの(劇場用映画など) 実名の生前公表は死後38年間、実名の死後公表と無名・変名は公表後38年間、団体名義は公表後33年間 bunka.go.jp2026-10-12
独創性のないもの(ニュース映画、記録映画など) 発行又は創作後13年間 bunka.go.jp2026-10-12

旧法の時代の映画は、公表名義によって期間が分かれていました。 今の第54条は名義で分けません。古い映画を考えるときは、どの時代の規定が当てはまるかを先に決めることになります。

切れた作品は復活しますか?

しません。これは条文ではなく、改正法の附則で決まっています。文化庁のQ&Aの答えがいちばん簡潔です。

著作権法においては,一度保護が切れた著作物等については,その保護を後になって復活させるという措置は採らないという原則があるため,改正法の施行日である平成30(2018)年12月30日の前日において著作権等が消滅していない著作物等についてのみ保護期間が延長されます(TPP整備法附則第7条)。(文化庁Q&A 問4)

この考え方は、2018年の改正にかぎった話ではありません。Q&Aには、どの改正にも通じる形で書かれています。

法改正により保護期間の長さが変更される場合は,それぞれの改正法の施行の際,現に著作権が消滅していないもののみが,変更された保護期間の適用を受けます。(文化庁Q&A 問10)

判断の分かれ目 文化庁の説明 出典・確認日
施行日の前日に権利が残っていた 延びた期間が適用されます bunka.go.jp2026-10-12
施行日の前日に権利が消えていた 遡って延びることはありません bunka.go.jp2026-10-12
旧法の期間のほうが長い 「旧法に定められた保護期間の方が長い場合は,その長い保護期間が適用されます。」 bunka.go.jp2026-10-12

ここが、個別の作品を素人が判定できない理由です。 改正の切り替わりの前後に公表された映画は、施行日の前日に権利が残っていたかどうかで結論が変わります。

文化庁自身も、調べる作業の重さをはっきり書いています。

旧法の時代に公表又は創作された著作物の著作権が存続しているか否かを考える際には,旧法及び現行著作権法の保護期間の規定を調べる必要があります。(文化庁Q&A 問10)

この記事は、特定の作品について「これはパブリックドメインです」とは書きません。 実際に使う予定があるなら、弁護士や著作権の専門家にご相談ください。

海外の映画も70年ですか?

国によって変わります。第58条が「保護期間の特例」として、相手国の期間が短いときの扱いを決めています。

ベルヌ条約の同盟国などを本国とする著作物について、条文はこう書いています。

その本国において定められる著作権の存続期間が第五十一条から第五十四条までに定める著作権の存続期間より短いものについては、その本国において定められる著作権の存続期間による。(著作権法第58条)

文化庁のQ&Aは、これを両方向から説明しています。

ある国で著作物の保護期間が著作者の死後70年であれば,我が国でも当該国の著作物は70年間保護することとなります。他方,ある国で著作物の保護期間が著作者の死後50年であれば,我が国の保護期間が延長された後も,我が国でも当該国の著作物は50年間保護すれば足りることとなります。(文化庁Q&A 問5)

短いほうに合わせるのは、相手国の期間が日本より短いときだけです。 相手国が日本より長くても、日本での期間が延びるわけではありません。

もうひとつ、日本だけにある上乗せがあります。戦時加算です。

戦時加算の仕組み 中身 出典・確認日
根拠 「連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律第4条」。サンフランシスコ平和条約に基づくものです bunka.go.jp2026-10-12
加算する日数 1941年12月8日から、当該国との平和条約発効の前日までの日数。米国とオーストラリアは3794日 bunka.go.jp2026-10-12
2018年の延長との関係 2018年12月29日に戦時加算期間だった著作物は、50年から70年に延長されます bunka.go.jp2026-10-12

3794日は10年を超えます。古い外国映画では、この上乗せが結論を変えることがあります。 戦時加算の対象国は、米国・カナダ・ニュージーランド・オーストラリアなどとQ&Aに挙げられていました。

ここまでをまとめると、海外作品の判定には3つの材料が必要になります。日本の第54条、相手国の保護期間、そして戦時加算です。「海外のサイトで公開されている」は、この3つのどれにも答えていません。

無料で観られる公的機関は?

国立映画アーカイブです。所蔵フィルムをデジタル化した作品を、オンラインで無料公開しています。公開先は「配信コンテンツの利用について」のページに7つ挙げられていました。

配信サイト 公開しているもの 出典・確認日
フィルムは記録する 文化・記録映画など339作品(2026年3月27日現在) nfaj.go.jp2026-10-12
日本アニメーション映画クラシックス 1917年から1942年までの日本アニメーション映画64本 nfaj.go.jp2026-10-12
映像でみる明治の日本 明治期に撮影された日本映画6作品と、リュミエール社が撮影した29本 nfaj.go.jp2026-10-12
映画 meets 歌舞伎 1908年から1921年の劇映画4作品 eigameetskabuki.filmarchives.jp2026-10-12
関東大震災映像デジタルアーカイブ 関東大震災に関連する映像。2023年9月1日の公開で完結しています nfaj.go.jp2026-10-12
映画 meets 新派・新劇・新国劇 初期の劇映画。本数の記載は見つかりませんでした nfaj.go.jp2026-10-12
映画遺産 映画フィルム以外の資料(ポスター・台本などの画像) nfajfilmheritage.jp2026-10-12

いちばん本数が多いのは「フィルムは記録する」です。2023年3月31日の第1弾から、2026年3月27日の第8弾まで追加が続いていました。公開の進み方も案内ページに書かれています。

所蔵のスケールも書かれていました。「フィルムは記録する」のサイトポリシーからの引用です。

日本で唯一の国立映画機関である国立映画アーカイブでは、現在8万5千本の映画フィルムを所蔵し、フィルムにとって適切な温湿度環境を整えた相模原分館の映画フィルム専用保存庫において、長期保管しています。(https://filmisadocument.jp/pages/about /2026-10-12 確認)

同じページには、うち文化・記録映画やニュース映画は「5万本近くに及び」とも書かれています。339作品は、その一部ということになります。

ここで区別しておきたいことがあります。オンラインは無料ですが、京橋の上映ホールは有料です。

国立映画アーカイブの料金 金額 出典・確認日
上映ホール(所蔵作品上映) 一般520円/高校・大学生と65歳以上310円/小・中学生100円 nfaj.go.jp2026-10-12
上映ホールが無料になる方 障害者手帳をお持ちの方(付添者は原則1名まで)と、キャンパスメンバーズの学生・教職員。当日券のみ nfaj.go.jp2026-10-12
展示室 一般250円/大学生130円。高校生以下および18歳未満・65歳以上・障害者手帳をお持ちの方は無料 nfaj.go.jp2026-10-12
展示室の無料観覧日 5月18日 国際博物館の日と、11月3日 文化の日。月曜にあたる場合は休館です nfaj.go.jp2026-10-12

お金をかけずに観たいなら、オンラインの7サイトが答えになります。 上映ホールの520円は、フィルムを劇場で観るための料金です。

国会図書館で映画は観られますか?

インターネットでは観られません。国立国会図書館の「資料デジタル化について」に、資料種別ごとの提供点数が載っています。録音・映像関係資料のインターネット公開は「-」でした。

録音・映像関係資料の提供点数 点数(令和8年9月末時点) 出典・確認日
インターネット公開 「-」(記載なし) ndl.go.jp2026-10-12
図書館・個人送信 0.3万点 ndl.go.jp2026-10-12
国立国会図書館館内提供 1万点 ndl.go.jp2026-10-12

館内提供の意味も注記されていました。「デジタル化資料のうち、注1、注2のいずれにも該当しないもので、国立国会図書館の館内に設置された端末でのみ利用できます。」

ただし、この表にはこの記事にとって大事な一文が付いています。インターネット公開の条件です。

著作権保護期間が満了した資料、著作権者の許諾を得た資料等については、インターネットを通じて本文の画像を公開しており、どなたでも自宅のパソコン等から利用することができます。(国立国会図書館「資料デジタル化について」注1)

インターネット公開の根拠が2つ並んでいる点に注目してください。 「保護期間が満了した」と「許諾を得た」です。公開されていることは、保護期間が切れている証拠になりません。国の図書館の説明が、そのことをそのまま示しています。

もうひとつ、判定の難しさが分かる記述もありました。

図書・古典籍資料は、刊行時期の古いものから順次著作権の確認を行い、権利処理が完了した資料をインターネットに公開しています。また、生没年や著作権者が不明な著作者の公開調査を行っています。(同ページ「7 デジタル化した資料の著作権処理」)

国の図書館でも、1件ずつ確認して、分からなければ調査を公開して呼びかけています。 作品名で検索して出てきたから大丈夫、という話ではないわけです。

無料なら自由に使えますか?

いいえ。無料で観られることと、保護期間が切れていることは別です。 ここを混同すると、気づかないうちに権利を侵害することになります。

国立映画アーカイブの「配信コンテンツの利用について」を読むと、この区別がはっきり書かれています。

国立映画アーカイブの配信映像の扱い 書かれていること 出典・確認日
複製 「当館WEBサイト※で配信中の映像は、当館の許可なく複製して使用することはできません。」 nfaj.go.jp2026-10-12
ストリーミング再生 「ただしストリーミング再生でのご使用の場合、当館への手続きは不要です。」 nfaj.go.jp2026-10-12
ダウンロードして使う 「映像・画像をダウンロードしてご使用になりたい場合、有償の手続きが必要です。」 nfaj.go.jp2026-10-12
映像素材の提供 「別途、権利者からの承諾が必要な場合があります。」 nfaj.go.jp2026-10-12

最後の行がいちばん重要です。「権利者からの承諾が必要な場合があります」と書かれているのは、権利者がいる作品が含まれているからです。 公開されている全作品の保護期間が切れている、という説明はどのページにもありませんでした。

もう1件、権利処理をはっきり書いているアーカイブがあります。NPO法人科学映像館が運営する科学映像館です。無料配信で、2026年10月12日に見たときの「総配信映画数」は1,329でした。設立は2007年4月1日です。

サイトポリシーには、配信の根拠がこう書かれています。「配信映画の著作権はそれぞれの版権保持者に帰属し、当サイトでは配信許諾を受け配信を行っております。」さらに「科学映像館では著作権者および関係者の配信許諾を得て配信しています。」とも書かれています。

アーカイブ 公開の根拠として書かれていること 出典・確認日
国立映画アーカイブ 所蔵フィルムをデジタル化したもの。ストリーミングは手続き不要ですが、映像素材には権利者の承諾が必要な場合があります nfaj.go.jp2026-10-12
国立国会図書館 「著作権保護期間が満了した資料、著作権者の許諾を得た資料等」 ndl.go.jp2026-10-12
科学映像館 「配信映画の著作権はそれぞれの版権保持者に帰属し、当サイトでは配信許諾を受け配信を行っております。」 kagakueizo.org2026-10-12

3つのうち、保護期間の満了だけを根拠にしている公開元はありませんでした。 いずれも許諾や権利処理が根拠に含まれています。

科学映像館のサイトポリシーには、紹介のしかたについての希望も書かれていました。「当サイトへのリンクは原則として、トップページへお願いいたします。」「画像や映画ファイルへの直接リンクは固く禁じます。」この記事の出典URLは、この希望にそってトップページにしています。

海外のアーカイブは使えますか?

観るだけなら使えます。ただし公開元の国の基準と、日本の保護期間は別の話です。

Internet Archive のヘルプには、権利状態について同館が保証しない旨が明記されています。「The Internet Archive does not make guarantees as to the copyright status of items on archive.org and cannot guarantee information posted on item details or collection pages regarding copyright or other intellectual property rights.」

さらに同じページには、利用者側の責任も書かれています。「Our Terms of Use require that users make use of the Internet Archive’s Collections at their own risk and ensure that such use is non-infringing and in accordance with all applicable laws.」

利用規約の原文にも、国ごとの違いに触れた一文がありました。2021年1月2日時点のアーカイブに残る版(表示は2014年12月31日)からの引用です。「nor does it guarantee or warrant that the content available in the Collections is accurate, complete, noninfringing, or legally accessible in your jurisdiction」

「legally accessible in your jurisdiction」の判断は、利用者に委ねられています。 日本から観る人にとっては、日本の著作権法が基準になります。

アップロードの手引には、米国法を前提にした目安も書かれていました。日本の第54条とは基準が違うことが、ここから分かります。

Internet Archive の手引にある米国の目安 書かれていること 出典・確認日
前提 「The points below refer to movies produced in the United States only:」 help.archive.org2026-10-12
1923年以前 「Works that were completed in 1923 or earlier are generally in the public domain.」 help.archive.org2026-10-12
1964年以降の表示 「The copyright is probably still valid and the film should not be uploaded unless you are the copyright holder.」 help.archive.org2026-10-12
外国作品 「Foreign titles might not have a copyright notice but still may be copyrighted in their country of origin.」 help.archive.org2026-10-12

「1923年以前は一般にパブリックドメイン」は米国の話です。 日本の映画の著作物は公表後70年です。2026年の時点なら、起点が1955年以前かどうかで数えます。基準となる年が違います。

アップロード者が書いた情報の信頼度についても、注意書きがありました。「Unfortunately, Archive.org cannot guarantee the accuracy of uploader-provided information.」

一方で、権利状態を1件ずつ確認しているコレクションもあります。Prelinger Archives です。ヘルプにはこう書かれています。「Since the Prelinger collection on this site exists to supply material to users without most rights restrictions, every title has been checked for copyright status. Those titles that either are copyrighted or whose status is in question have not been made available.」

「status is in question」のものは公開しない、という書き方です。 迷ったら出さない、という判断が明記されています。それでも同じページには、権利状態への言及はしないとも書かれています。「The Internet Archive does not furnish written license agreements, nor does it comment on the rights status of a given film above and beyond the Creative Commons license.」

海外アーカイブを見るときの注意 中身 出典・確認日
公開元の国の基準 米国では1923年以前が一般にパブリックドメインとされています help.archive.org2026-10-12
日本の基準 映画の著作物は公表後70年(第54条第1項)。翌年1月1日から起算します japaneselawtranslation.go.jp2026-10-12
短いほうに合わせる場面 相手国の期間が日本より短いときだけです(第58条) japaneselawtranslation.go.jp2026-10-12
上乗せ 戦時加算。米国とオーストラリアは3794日 bunka.go.jp2026-10-12

利用規約には、もう1つ目にとまる一文がありました。「Access to the Archive’s Collections is provided at no cost to you and is granted for scholarship and research purposes only.」研究や学術の目的に限る、という書き方です。この一文も、2014年12月31日版の確認です。

運営者の判断(意見・著者:ゆうすけ) ここから下は事実ではありません。上の表と条文から、運営者が考えたことです。 今回いちばん意外だったのは、映画の70年が2018年の改正とは別の話だったことです。「50年から70年に延びた」という説明は原則の話で、映画はその前の改正で70年になっていました。条文を見ずに記事を書いていたら、間違えて書いていたと思います。 もうひとつ考えが変わったのは、「無料で公開されている」という事実の軽さです。国立映画アーカイブも国立国会図書館も科学映像館も、公開の根拠に許諾や権利処理を挙げていました。保護期間の満了だけを根拠にしている公開元は、今回ひとつも見つかりませんでした。 ですから「パブリックドメインの映画を無料で観たい」という目的に対して、いちばん現実的な答えは「公的機関が自分で公開しているものを観る」だと考えます。判定を自分でやらずに済みます。観るだけなら、それでじゅうぶんです。 逆に、動画に使いたい、上映したい、という段になったら話が変わります。そこは条文の読み比べが必要な領域で、運営者が調べて答えを出せる範囲を超えていると考えます。

調べきれなかったことは何ですか?

今回調べきれなかったのは8項目です。いちばん大きいのは、e-Gov法令検索が使えなかったことです。推測では埋めていません。

要確認の項目 確認できなかった理由 次に確かめられる場所
e-Gov法令検索による条文の原文 調査時間帯を通じてメンテナンス中でした。「現在、システムメンテナンス中のため、e-Gov法令検索のサービスをご利用できません。」が返り、法令本文も法令APIもHTTP 403でした。条文は法務省の日本法令外国語訳データベースシステムの日本語原文で確認しています e-Gov法令検索の復旧後に、著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第51条から第58条をご確認ください
参照した条文が現行かどうか 法務省のデータベースの表示は「最終更新:平成三十年法律第三十号」でした。保護期間の条文がその後の改正で変わっていないかは確認できていません 同じく e-Gov法令検索で、最新の条文と照らし合わせてください
平成15年改正法と平成28年改正法の附則の原文 同じ理由で取得できませんでした。不遡及については文化庁のQ&Aの説明(TPP整備法附則第7条)までを記載しています e-Gov法令検索で各改正法の附則をご確認ください
映画の保護期間をめぐる裁判例 裁判所の裁判例検索で、該当する判決の原文を特定できませんでした。確認できていないため、本記事では個別の裁判例に触れていません 裁判所の裁判例検索、または著作権の専門家にご相談ください
国立映画アーカイブの所蔵本数 公式ページの2か所で数が違いました。サイトポリシーは「現在8万5千本の映画フィルムを所蔵し」、案内ページは「約9万本にのぼる当館の所蔵フィルム」です。本文には前者を記載しました 国立映画アーカイブのコレクションのページ、または同館へのお問い合わせでご確認ください
配信サイト3つの公開本数 関東大震災映像デジタルアーカイブ、映画 meets 新派・新劇・新国劇、映画遺産には、公開本数の記載を見つけられませんでした 各サイトの一覧ページで件数をご確認ください
日本アニメーション映画クラシックスのサイト サイトポリシーに「本サイトへのリンクは自由に行っていただいて構いませんが、商業目的の利用はご遠慮ください。」とありました。判断が分かれる情報源は使わない方針のため、出典URLには使っていません。公開本数は国立映画アーカイブ本体の案内ページから記載しました 国立映画アーカイブのオンラインサービスのページから、同サイトへたどれます
Internet Archive の現行の利用規約 規約ページはJavaScriptが必要で、原文のテキストを取得できませんでした。2021年1月2日時点のアーカイブに残る版(表示は2014年12月31日)で原文を読んでいます Internet Archive の各ページ下部にある Terms of Use をブラウザでご確認ください

この8項目は、確認できた時点でこの記事に書き足し、確認日を更新します。

今回使った情報源と、使わなかった情報源も書いておきます。

使ったのは7つです。1つめは文化庁の著作権法改正のページとQ&Aです。robots.txtはなく、自動取得を禁じる記述もありませんでした。

2つめは法務省の日本法令外国語訳データベースシステムです。robots.txtは存在せず、自動取得を禁じる記述も見つかりませんでした。条文の原文はここで確認しています。

3つめは国立映画アーカイブです。robots.txtはありません。サイトポリシーの著作権条項は対象を「著作物(文書、資料など)」に限定していて、公開本数や料金という事実データは対象外と読めます。無断リンクを禁じる条項はありませんでした。

4つめから6つめは、同館の配信サイトです。「フィルムは記録する」「映画 meets 歌舞伎」「映画遺産」の3つです。いずれもrobots.txtがありませんでした。サイトポリシーには「本サイトへのリンクは、自由に行っていただいて構いません。」と明記されています。

7つめは国立国会図書館です。robots.txtは「User-agent: * / Allow: /」で全面許可でした。

科学映像館は、robots.txtが管理画面だけを対象にしていて、本文へのクロール制限はありませんでした。リンクについては、トップページへのリンクを希望する旨と、紹介した内容を後日メールで知らせてほしい旨が書かれていました。この記事の公開後に、運営者からメールを送る必要があります。

Internet Archive は、robots.txtが「/control/」と「/report/」だけを対象にしていました。ヘルプのドメインも管理画面だけが対象です。リンクを禁じる条項と自動取得を禁じる条項は、確認できた2014年12月31日版には見つかりませんでした。

使わなかったのは2つです。1つはe-Gov法令検索で、メンテナンス中のため使えませんでした。もう1つは日本アニメーション映画クラシックスのサイトです。サイトポリシーに商業目的の利用を控えるよう書かれていたため、出典URLには用いていません。

このページのイラストは当サイトが作成したものです。実在の劇場・作品・ポスターを写したものではありません。

この記事について

著者:ゆうすけ /最終更新:2026年10月12日

本記事の数値は運営者自身の記録および当サイトが収集したデータにもとづきます。他サイトからの引用・転載は含みません。

誤りを見つけた場合はご連絡ください(訂正方針)